微生物(microorganism, microbe)とは,肉眼では見えないほど小さな生物の総称である。17世紀末,オランダのレーヴェンフックは,自作の顕微鏡で微生物を発見し,歴史上初めてその存在を発表した。一部を除き,大部分の微生物の大きさは,おおよそ数µm〜数十µm程度である。人が肉眼で見える大きさは,100〜200 µm程度(おおよそ髪の毛の細さ)と言われているため,まさに肉眼で見ることができない小さな生き物である。上述の通り,微生物とは総称であり,その中には原核生物である細菌や古細菌,真核生物である真菌,原生生物など多様な種類の生物が含まれている。本稿では,微生物の多様性や分類に焦点を当て,系統学的な位置付けにも言及しながら,基礎的な内容について述べる。