脱酸素剤による製品の品質保持は,食品だけでなく医薬品,電子部品,文化財の保存にも適用されている。食品向けの実用的な脱酸素剤は,「エージレスⓇ」として三菱ガス化学(株)によって1977年に開発されて以来,日本国内を始め,世界中で使用される食品包装技術となっている。脱酸素剤は,ガスバリア性の高い包装内に同封・密閉することで,包装内の酸素を吸収し,①油脂の酸化防止,②変色防止,③風味保持,④カビなどの微生物の生育防止,などの効果が得られ,食品の品質保持に貢献している。今回は,「家族に安心な包装・脱酸素剤による食品の保存方法」と題して食品包装に用いる脱酸素剤の特徴を中心に,脱酸素剤による酸化防止・微生物制御・環境負荷について解説を行う。