日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.5 (2024)

表題:
「胞子」をつくる細菌と真菌の基礎講座
[2]細菌の胞子(内生胞子,芽胞)の多様性
著者:
桑名利津子(摂南大学薬学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.5,pp.213−220(2024)

“Bacterial spore”とは,一部の細菌が形成する特殊な構造持つ細胞で極めて耐久性が高い。その休眠と抵抗性については多くの研究がなされてきたが,そのほとんどがモデル生物であるBacillus subtilisまたは培養可能なClostridium属細菌によって解析されてきた。その他の芽胞形成細菌についての基本的な芽胞形成機構や,芽胞の特性についてはほとんど明らかにされていない。“Bacterial spore”は,日本語訳では細菌胞子(spore),内生胞子(endospore)とも呼ばれていたが,真菌やシダ植物の胞子とは役割が異なるため,それらと区別するために,芽胞(spore)という名称で呼ばれるようになった。本稿では,エンガルフメント(engulfment)により形成される内生胞子(endospore)を形成する細菌について説明する。また成熟した内生胞子および母細胞から放出された成熟した内生胞子のことを“Bacterial spore(芽胞)”をと呼ぶ。

Key words:
Bacterial spore/Endospore/Offspring cell/Diversity/Spore forming bacteria/Spore.