日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.6 (2024)

表題:
家庭の安全・安心科学
-家庭における微生物汚染とその対策-
[13]家庭における感染症媒介虫類の対策と防除等の遍歴
著者:
安部八洲男(防疫薬総合管理研究会/(元)大阪青山大学健康科学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.6,pp.229−250(2024)

古くから,家庭にはいろいろな害虫獣類が侵入し,刺したり,咬んだり,感染症を伝播したりして人々を苦しめた。代表的には,ハエ,蚊,ゴキブリ,ノミ,シラミ,ダニ,更にはネズミ,ヘビなどである。これらの害虫獣類は現代では感染症を媒介することは少なくなり,単なる不快害虫となったものもあるが,蚊はマラリア,糸状虫症,日本脳炎,黄熱,デング熱などの恐ろしい感染症を媒介する。ノミはペストを,シラミは発疹チフスを媒介する。ハエやゴキブリはコレラ菌,赤痢菌,腸チフス,大腸菌などを体表につけて動き回り,これらの菌を家庭内のあちこちに拡散する。これらの害虫獣に対して採られてきた対策について古くから現代に至るまでの変遷について述べた。更には,現代における害虫獣対策と防除方法について具体的に説明した。また,害虫類を防除する時に使われる殺虫剤の利点,欠点について述べ,その安全性についての考え方について説明した。

Key words:
Vector pest(媒介有害生物)/Household pest(家庭害虫)/Infectious disease(感染症)/Urban pest management(都市害虫管理)/Pest control(有害生物防除).