古くから,家庭にはいろいろな害虫獣類が侵入し,刺したり,咬んだり,感染症を伝播したりして人々を苦しめた。代表的には,ハエ,蚊,ゴキブリ,ノミ,シラミ,ダニ,更にはネズミ,ヘビなどである。これらの害虫獣類は現代では感染症を媒介することは少なくなり,単なる不快害虫となったものもあるが,蚊はマラリア,糸状虫症,日本脳炎,黄熱,デング熱などの恐ろしい感染症を媒介する。ノミはペストを,シラミは発疹チフスを媒介する。ハエやゴキブリはコレラ菌,赤痢菌,腸チフス,大腸菌などを体表につけて動き回り,これらの菌を家庭内のあちこちに拡散する。これらの害虫獣に対して採られてきた対策について古くから現代に至るまでの変遷について述べた。更には,現代における害虫獣対策と防除方法について具体的に説明した。また,害虫類を防除する時に使われる殺虫剤の利点,欠点について述べ,その安全性についての考え方について説明した。