日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.6 (2024)

表題:
歯科医療分野における微生物制御
[3]歯周病治療における微生物制御
著者:
天雲太一(東北大学大学院歯学研究科口腔システム補綴学分野)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.6,pp.271−278(2024)

歯周炎は,歯周病原因菌によって引き起こされる感染性炎症性疾患である。口腔は外界と交通して,常に外来刺激物が侵入してくる器官であることから,すべての細菌を死滅させることは不可能であり,歯周病原因菌を如何に制御するかが歯周炎治療の目的となる。そこで,本稿では歯周炎治療の歴史的な経緯と,現在行われている歯周治療(微生物制御方法)を紹介する。歯周炎原因菌として,レッドコンプレックスといわれる複数の細菌が関与しており,これらを含んだプラーク(バイオフィルム)が根面や歯石に形成され,慢性的な免疫応答反応によって組織を破壊している。根面に形成された歯石やバイオフィルムには生体の防御反応が及ばないため,歯ブラシやスケーリング・ルートプレーニングなどの機械的アプローチをメインとし,洗口液や抗生物質を使用した化学的アプローチを補助療法として,微生物を制御している。口腔内の細菌叢は後戻りすることが知られており,歯ブラシによるセルフコントロールが極めて重要になっている。

Key words:
Periodontal treatment(歯周炎治療)/Biofilm(バイオフィルム)/Tooth bruising(歯ブラシによるセルフケア)/Mechanical plaque control(機械的プラークコントロール)/Chemical plaque control(化学的プラークコントロール).