日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.7 (2024)

表題:
歯科医療分野における微生物制御
[4]歯周病と全身疾患の関係性
著者:
天雲太一(東北大学大学院歯学研究科口腔システム補綴学分野),中村圭祐,白土翠(東北大学大学院歯学研究科先端フリーラジカル制御学共同研究講座)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.7,pp.315−321(2024)

歯周病では,歯面や歯石に付着した細菌及びその産生物質に対する宿主免疫応答によって,炎症性サイトカインが継続的に歯周組織に放出されるため歯周組織が破壊されていく。近年,歯周病は,口腔の健康のみならず糖尿病など全身の健康を脅かすリスクファクターになることが明らかになってきた。例えば,これらの細菌は歯周治療だけでなく歯ブラシなどの日常的動作によっても菌血症になることが報告されている。更に,細菌だけでなく,その産生物質及び炎症性物質の一部も血中に移行することで,全身的に血中の炎症性物質が上昇する。炎症性物質は血管内皮を傷害することで動脈硬化症のリスクファクターとなることや,早産・低体重児出産のリスクファクターになることがシステマティックレビューによって示されてきた。一方で,歯周治療,歯周病予防,口腔衛生状態の改善が,これら全身疾患の予防や症状緩和に重要であることもわかってきた。

Key words:
Periodontal disease(歯周病)/Bacteremia(菌血症)/Arteriosclerosis(動脈硬化症)/Diabetes (糖尿病)/Premature birth(早産)/Low birth weight infant(低体重児出産).