薬剤耐性菌が世界的に猛威を奮っている中,表面形状での抗菌・殺菌技術に注目が集まっている。バイオミメティクスをはじめとした表面構造の形成技術などの研究が盛んに進む中で,微粒子投射(Fine Particle Bombarding:FPB)処理によって形成される微細凹凸形状が抗菌性能を有することを確認した。FPB処理は,作業が容易で低コストであり,大面積への処理も可能であることから,食品製造機器を中心に採用が拡大している。基材にステンレスを使用し,平滑面と微細凹凸を有するFPB処理面の抗菌性能評価を実施したところ,FPB処理面においては,大腸菌と黄色ブドウ球菌の菌数の減少が顕著であった。基材物性に関わらない,形状での抗菌効果であることも確認している。食品製造現場への適用などにも触れながら,FPB処理面の抗菌性能について解説する。