日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.9 (2024)

表題:
ナノ・マイクロ構造による新しい抗微生物技術
[4]大気圧低温プラズマを用いた防汚機能を有する胆管ステントの開発
著者:
関口 淳(大阪公立大学 工学研究科/リソテックジャパン(株)),山本雅史(香川高等専門学校 電気情報工学科),合川公康(埼玉医科大学 国際医療センター)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.9,pp.417−423(2024)

バイオミメティクスとは生物が持つ機能や性能を模倣する技術のことで,例えば,水を弾くハスの葉の超撥水性を利用した防水用品への応用はよく知られる。我々が着目したのは,油汚れを弾くカタツムリの殻の表面構造である。カタツムリの殻には200nm~400nmのナノポーラス構造があり,このナノホールに水が入り込むことで,表面に薄い水の膜(水膜)が形成され,油汚れを寄せ付けない。このような構造を超ナノ親水構造と呼ぶ。前報では,このようなナノ構造をナノインプリント法で作製し,胆管ステントの内壁に適用することを検討した。しかし,この方法では,フィルム表面にナノ構造を作り,これを丸めてチューブとするため,製作に手間がかかる。また,ナノインプリント法のモールドは,電子線リソグラフィー技術により製作するため,高価であり,量産には向いていなかった。そこで,我々は,大気圧低温プラズマによるPE製胆管ステント内壁への微細構造の直接形成による防汚機能付与のための要素技術の構築を目指して,直径の異なるPEチューブ内壁に様々なプラズマ条件で微細構造を形成し,その構造や防汚機能の効果を検討したので報告する。

Key words:
バイオミメティクス/カタツムリの殻構造/超ナノ親水/胆管がん/胆道閉鎖症/胆管ステント/大気圧低温プラズマ法.