日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.9 (2024)

表題:
「胞子」をつくる細菌と真菌の基礎講座
[4]やや偏ったカビの基礎知識
著者:
槇村浩一(帝京大学医真菌研究センター)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.9,pp.425−429(2024)

カビ(真菌)は我々にとって非常に身近な微生物であり,その多様性と機能は驚くべきものである。カビは細菌や植物とは異なり,動物と共にオピストコンタに属する極めて近縁の真核生物であることがDNA塩基配列の解析から明らかになっており,これが真菌症対策を困難にしている根本的な理由となっている。カビには,かび,酵母,きのこが含まれる。カビはクローンに相当する無性胞子と,配偶子に相当する有性胞子の二種類の胞子を形成する生活環を有し,かつては各々に別の学名が与えられていた。カビの菌種は約12-15万種が認識されており,毎年新たに約2000種が記載されている。その中でヒトに感染する病原真菌は少数であり,現状では1000程の種数が確認されている。これらカビの学名は現在再構成の過程にあるため,慣れ親しんだ菌についても再分類のため学名が変更されることがある。しかし,学名は本質的に真菌分類上の「学説」を端的に示したものであるから,分類学研究の進捗に伴って今後も変更(更新)され続けるのは宿命である。

Key words:
黴菌/オピストコンタ/かび/酵母/きのこ/学名.