日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.11 (2024)

表題:
「胞子」をつくる細菌と真菌の基礎講座
[5]糸状菌の生産する二次代謝物とその利用
著者:
加藤直樹(摂南大学 農学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.11,pp.481−487(2024)

糸状菌(カビ)は,キノコや酵母などともに真核微生物である真菌に分類され,日本酒や味噌,醤油など我が国の伝統的な発酵食品製造に欠かせない麹菌(コウジカビ)に代表されるように,私たちの生活に不可欠な有用微生物である。優れた物質生産能と同様に重要な糸状菌の特徴として,よく発達した二次代謝が挙げられる。二次代謝物は生物種に特異的であり,糸状菌は,複雑な化学構造と多様な生物活性を示す二次代謝物を産生する。化学的多様性を産み出す生合成基盤を概説するともに,抗生物質ペニシリン,免疫抑制剤シクロスポリン,高脂血症治療薬スタチンなど医薬品,農薬として利用されているものや,アフラトキシンなどカビ毒として農作物を汚染し,私たちの健康被害を及ぼすものについて紹介する。

Key words:
Filamentous fungi(糸状菌)/Secondary metabolite(二次代謝物)/Drug discovery(創薬)/Mycotoxin(カビ毒)/Natural product biosynthesis(天然物生合成).