生物は環境の変化に適するように進化を遂げてきた。生物の体表には,その生物独特の微細な表面構造を持つ。ナノレベルの凹凸は,1つの構造でいくつもの機能を発現するため,それにインスパイアされた新しい材料が誕生する可能性を秘めている。本稿では,その機能の一つである抗微生物性について取り上げる。抗微生物性の中には,抗ウイルス性,抗菌性,殺菌性,抗バイオフィルム性などが挙げられる。私達は規則的な配列を持つナノ構造体を「ナノスパイク(NanoSpike)」と命名し,その抗微生物作用について研究を行っている。本稿ではこれまでに得られた結果について紹介する。