日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.52,No.12 (2024)

表題:
ヒト常在菌叢と健康・疾患に関する研究の最前線
[11]ヒト皮膚常在菌のin vitro評価研究
著者:
本山ユミ((株)豊田中央研究所),曽我直樹(トヨタ自動車(株)),池内暁紀((株)豊田中央研究所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.52,No.12,pp.551−556(2024)

皮膚には多種多様な微生物が共生し,互いのバランスを維持しながら安定した皮膚常在菌叢を形成している。皮膚常在菌叢は,皮膚組織と相互作用しながら皮膚のバリア機能をサポートするとともに,免疫応答の調節にも関与するなど,皮膚の健康を支える重要な役割を担っている。そのため,皮膚常在菌叢の共生バランスの乱れは,皮膚トラブルを引き起こす要因となる。例えば,アトピー性皮膚炎では,S. aureusの異常増殖による共生バランスの崩壊が指摘されている。そこで我々は,3D表皮モデル上にS. aureus(病原菌)とS. epidermidis(常在菌)を適度な割合で播種し共生状態を形成させることで,病原菌-常在菌-皮膚の相互作用を反映したin vitro評価モデルを構築した。本稿では,この「3D表皮共生モデル」の内容について紹介させて頂くとともに,本モデルの活用例として,共生バランスを調整する植物成分を探索した結果についても報告する。

Key words:
Skin microbiome(皮膚常在細菌叢)/Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)/Staphylococcus epidermidis(表皮ブドウ球菌)/3D human skin model(3次元培養皮膚モデル)/Natural plant extracts(天然植物抽出物).