わが国で,はじめてレジオネラ症が発症したのは1980年10月28日である。その後,40年あまりを経過した現在でも報告数は残念ながら右肩上がりである。これまで感染源となる様々な人工的水環境でレジオネラ属菌の制御が行われてきた。現場の方々のご努力には頭が下がる思いである。しかし,レジオネラ属菌はそれをあざ笑うかのように増え続け,感染症の拡大は止まらない。レジオネラ属菌が環境中で容易に増える特性を持ち合わせていることと,その生息環境が多岐にわたることから画一的な制御方法が打ち出せないことが大きな要因である。しかし,我々は歩みを止めるわけにはいかない。レジオネラ属菌の特性を十分に理解し,個々のフィールドに適した策を考え続けていく。それには礎となる本指針が必ず必要である。