日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.53,No.3 (2025)

表題:
浴槽水における大腸菌検査法の検討(短報)
著者:
小松頌子,藤永千波,田中 忍,中西典子(神戸市健康科学研究所 感染症部),武藤千恵子,梅津萌子,髙久靖弘,大谷彩恵,田中和良,木下輝昭,猪又明子(東京都健康安全研究センター 薬事環境科学部),佐々木麻里(大分県衛生環境研究センター 微生物担当)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.53,No.3,pp.69−73(2025)

公共用水域の水質汚濁を防止するため,近年,放流水の基準が大腸菌群数から大腸菌数へと改正されている。本研究では,浴槽水中の大腸菌検出法を検討するため,市販の特定酵素基質寒天培地の特徴づけとコロニー数の比較を行い,実際の浴槽水における大腸菌の検出状況を定量・定性試験により調査した。その結果,培地によってコロニーの識別のしやすさや生育するコロニー数に差があり,一部の培地では大腸菌が非定型色を示すことが分かった。実際の浴槽水126検体において,13検体(10.3%)から大腸菌が,15検体(11.9%)から大腸菌群が検出された。青色を呈するコロニーは大腸菌であり,赤色を呈するコロニーはエンテロバクター属,シトロバクター属,セラチア属が多かった。また,大腸菌の定性試験では,温泉水では偽陰性となる可能性があることが明らかとなった。

Key words:
Escherichia coli(大腸菌)/Bathwater(浴槽水)/Specific enzyme substrate medium(特定酵素基質培地).