日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.53,No.3 (2025)

表題:
HACCP誕生の舞台裏―ピルスベリー社におけるFDAのためのHACCP概念の講習会―
著者:
宮尾宗央(東洋食品工業短期大学 准教授),米虫節夫(大阪公立大学大学院工学研究科 客員教授)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.53,No.3,pp.75−82(2025)

1971年の第一回米国食品防護委員会のProceeding,1972年にヒルズベリー社がFDA食品衛生監査員に対する実施したHACCP講習会記録資料よりHACCP誕生の舞台裏を紹介する。Proceedingにおいて,Baumanは食品や食品システムのHAの概念と,品質を確保するためのCCPの確立が提示され,普及が推奨されたと述べているが,HACCPという用語自体は使用していない。HACCP講習会の記録によるとヒルズベリー社はHA,CCPの定義を述べ,HACCPによる食品安全性の確立に関して品質管理の基礎から示している。また微生物学の基礎知識に加え,推測統計学を重視している。実務編では操業状況を監督するため,加工業者の品質管理水準の判定,サンプリング計画の評価といった点まで示している。さらには,業界団体(NCA)より規制強化が要求されていた缶詰産業へのHACCPの利用に関しても詳細に示している。これらの点で他とは一線を画す素晴らしい講習会記録であるといえる。

Key words:
HACCP(HACCP)/FDA(FDA)/Canned Foods(缶詰食品)/Regulation(規制)/Inferential Statistics(推測統計学).