日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 34, No.7 (2006)



表 題 靴足型容器内での植物精油蒸気による Trichophyton mentagrophytes の殺菌効果
著 者 井上重治 (帝京大学医真菌研究センター), 内田勝久 (帝京医真菌研究会), 安部 茂 (帝京大学医真菌研究センター)
掲 載 防菌防黴, Vol.34, No.7, pp.381-389 (2006)

 8種類の精油 (ティートリー, オレガノ, クローブ, ゼラニウム, シソ, ラバンジン, クロモジ, モナルダ) と3種類のブレンド精油の蒸気の抗白癬菌活性を, 靴足形モデルを用いて検討した。 抗菌効果は菌数とコニーサイズの相関曲線から算出される菌生存率を用いて評価した。 靴足型モデルの足底面の穴に白癬菌を挿入し, インソールに精油を添加して6時間ないし24時間放置すると, 精油位置に対応した足型モデルの穴の白癬菌のみが阻害され, 離れた白癬菌には影響がなかった。 したがって, 空間の少ない靴足底の場合には精油蒸気は広範囲に拡散せず, 狭い範囲に集中することが示竣された。 さらに精油はインソールに局部的に添加するより広範囲に均一に添加する方が, 殺菌効果が高かった。 靴足型モデルでの有効性はシャーレ裏返し方式の agar vapor assay による気体活性試験とは比例せず, 密閉箱を用いた box vapor assay での気体活性と相関した。 試験した精油の抗菌活性の強さはモナルダ, オレガノ>クローブ, クロモジ, シソ>ゼラニウム, ラバンジン, ティートリーの順であった。 ブレンド精油ではヒノキチオールを含有した精油が高い活性を示した。 ティートリー, ペパーミント, ラバンジン, ゼラニウム, オレガノのブレンド精油の5%アルコール溶液をインソールに噴霧すると, 靴足底の白癬菌が99%以上殺菌されたが, インソールの材質によって効果に差が見られた。
Key words Trichophyton mentagrophytes (白癬菌)/Essential oil (精油)/Activity of vapor (気体活性)/Shoe foot model (靴足型モデル)/Box vapor assay (密閉箱気体法).