表 題 |
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酸化カルシウムを主成分とする焼成ホタテ貝殻粉末による枯草菌芽胞の殺菌 |
著 者 |
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澤井 淳, 大橋沙由, 三好啓之, 四日洋和 (神奈川工科大学工学部応用バイオ科学科) |
掲 載 |
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防菌防黴, Vol.35, No.1, pp.3-11 (2007) |
1,000℃で1h 焼成処理した, 酸化カルシウムを主成分とするホタテ貝殻粉末の枯草菌芽胞に対する殺菌効果および作用機構について検討した。 60℃および37℃においても焼成ホタテ貝殻粉末スラリーにより枯草菌芽胞の殺菌が可能であった。 スラリーの上澄み液は, スラリーとほぼ同等の殺菌効果を枯草菌芽胞に対して示した。 溶出成分の影響について検討した結果, 飽和スラリーと等しい pH および Ca2+ 濃度の水酸化ナトリウム溶液では殆ど殺菌効果が認められなかった。 その作用は, pH および Ca2+ 以外の要因が考えられた。 CaO 粉末スラリーより活性酸素種が発生していることが報告されており, 活性酸素消去酵素の影響を調べた。 酵素を添加することにより殺菌効果は減少し, 活性酸素種の関与が考えられた。 また粉末スラリーの上澄み液が芽胞懸濁液の濁度減少を引き起こすことがわかった。 懸濁液の濁度変化より算出した透過障壁機能が保たれている枯草菌芽胞の割合の変化と, 芽胞の生存率の減少はほぼ一致した。 枯草菌の栄養細胞の本研究で使用した粉末スラリーの濃度範囲での抵抗性を考慮すると, 焼成ホタテ貝殻粉末スラリーは芽胞の透過障壁を喪失させ, 耐性を失った細胞を死滅させている可能性が示唆された。
Key words |
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Calcium oxide (酸化カルシウム)/Anti-bacterial activity (抗菌活性)/Alkali (アルカリ)/Active oxygen (活性酸素)/Germination (発芽). |
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