日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 35, No.6 (2007)



表 題 青果物/カット青果物の衛生管理法と微生物制御技術[9] 化学的微生物制御技術(4) 天然系抗菌剤:有機酸製剤
著 者 高本一夫 (サラヤ(株))
掲 載 防菌防黴, Vol.35, No.6, pp.395-399 (2007)

生野菜の汚染菌数を低下させることは, 食中毒などの危害リスクを低減させる意味で重要であり, 次亜塩素酸ナトリウムが汎用されている。 通常, 100~200ppm の有効塩素濃度で使用されるが, 野菜の種類によっては顕著な殺菌効果が得られない。 また , 酸化作用や臭気など, 実用的な問題もある。
これに替わる殺菌剤の一つとして , 食品添加物として認められている有機酸も有効に利用されている。 有機酸としてフマル酸を使用し, これにモノカプリンを添加した製剤は, 多くの野菜に対して次亜塩素酸ナトリウムよりすぐれた殺菌効果を示す。 とくに, 大腸菌群に対して有効であり, 腸管出血性大腸菌 O157 に対しても有効であった。 なお, モノカプリンは野菜の官能的品質に影響を及ぼす場合があるため, これを添加しないフマル酸製剤を検討した結果, これも次亜塩素酸ナトリウムと同等若しくはそれ以上の殺菌効果を示した。
このように, 食品添加物として認められている有機酸は安全性が高いうえに, 生野菜の殺菌にも有効に利用されている。
Key words Organic acid (有機酸)/Fumaric acid (フマル酸)/Food additives (食品添加物)/Fresh vegetable (生野菜)/Sanitizer (サニタイザー).