表 題 |
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食品の微生物検査法と食中毒発生時の疫学調査法[8] 腸球菌およびバンコマイシン耐性腸球菌 |
著 者 |
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石崎直人, 金子誠二 (東京都健康安全研究センター 微生物部 食品微生物研究科) |
掲 載 |
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防菌防黴, Vol.35, No.7, pp.455-465 (2007) |
近年, 医療技術の進展に伴い基礎疾患のある高齢者などの易感染者数が増加傾向にある。 易感染者は免疫力が低下しているため, 本来病原性の低い微生物に対して感染を防御することが出来ない。 これら日和見感染菌の代表的な菌として腸球菌, バンコマイシン耐性腸球菌 (VRE) が挙げられる。 VRE は国内外で注目されていることは言うまでもないが, VRE 以外の腸球菌も今後問題となってくる可能性は否定できない。 ヒトの疾病との関わりが高い Enterococcus faecalis と E. faecium の病原因子については研究が進められ, バイオフィルム形成に関与するゼラチナーゼ, プラスミドの接合伝達, 細胞付着およびコロニーゼーションに関与している凝集物質 (aggregation substance), 細胞障害に関与する cytolysin と, 尿管への定着, バイオフィルム形成に関与している enterococcal surface protein などが報告されている。 病原因子と病原性との関連性は必ずしも明確にはされていないが, 何らかの関与はあると考えられている。
これら腸球菌と VRE の食品中および環境中における汚染状況を把握することは疫学上重要な情報が得られる考える。 そこで今回は, 食品中からの検出方法および各国における汚染状況を中心に述べてみたい。
Key words |
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腸球菌/バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)/Enterococcus faecium/Enterococcus faecalis/食肉. |
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