表 題 |
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細菌とキレート剤 |
著 者 |
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木田 中 (厚生労働省新潟検疫所), 田口文章(微生物管理機構) |
掲 載 |
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防菌防黴, Vol.35, No.9, pp.567-581 (2007) |
エチレンジアミン四酢酸 (EDTA) がアルカリ側の溶液で細菌の細胞壁を可溶化させることは良く知られている。 我々は EDTA 溶液がアルカリ側に限らず酸性側でも抗菌活性を示すことを見出した。 その後, 低濃度のエタノールを添加した EDTA 溶液の抗菌活性が EDTA 溶液だけの場合と比較して高められることから, EDTA と他の薬剤との組み合わせ如何によっては, 強力な抗菌活性を発現させることができるのではないかと考えられた。 そこで, EDTA 溶液にエタノールと塩化第二鉄を加えた系 (Ethanol reagent と仮称), 及び Ethanol reagent にヨウ化カリウムを加えた系 (KMT reagent と仮称) が pH 0.3において強い殺芽胞活性を示すこと, 更にKMT剤が液相だけでなく気相においても強い殺芽胞活性を示すことを見出した。 他方, EDTA 溶液に対する細菌の感受性が細菌種によって大きく4つの群に分けられることを見出し, 細菌の鑑別及びコレラ菌の選択増菌培地につながる研究へと展開した。 このような EDTA と細菌のかかわりを研究する分野として“キレート細菌学”という名称を提案する。
Key words |
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キレート剤 / 抗菌活性 / 殺芽胞剤 / KMT剤. |
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