日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 36, No.4 (2008)



表 題 化粧品・医薬部外品・塗料における防腐技術[5] エチルアルコールによる微生物の増殖阻害と殺菌
著 者 山下 勝(名城大学名誉教授)
掲 載 防菌防黴,Vol.36, No.4, pp.241-262(2008)

エチルアルコールによる微生物の増殖阻害の主要因は,菌体内の ATP 合成阻害である。ATP 合成が阻害される原因は,エチルアルコールにより,微生物の細胞からプロトン H +が漏れ出る為に,プロトン勾配の形成が不可能となり,菌体内 ATP 合成に必要なエネルギー形成が不足する為である。殺菌は,エチルアルコールにより,微生物の細胞壁,細胞膜の破壊がおき,菌体内のリボゾーム等が菌体外に大量に漏れ出ることと,菌体内の代謝系が撹乱される為に,菌体内に多量の過酸化水素が発生し,菌体構成物が酸化変性される為におこる。
Key words 増殖阻害/殺菌/ATP 合成/プロトン H/過酸化水素.