表 題 |
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食品の殺菌手法-原理・特徴・現状・課題[18]
物理的手法 (5)食品の電磁波殺菌 その6.閃光パルス殺菌 |
著 者 |
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五十部誠一郎((独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所) |
掲 載 |
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防菌防黴,Vol.37,No.8,pp.603-610(2009) |
地表面での太陽光の2万倍の強さを持つ光をパルス的に発生させ,医薬品等の殺菌や食品表面等の制菌処理に応用する技術について紹介した。この閃光パルスは,高性能のキャパシターを装置本体に置くことで非常に強い閃光パルスを発生することが出来る。照射対象により極短時間のパルス処理の回数や距離等で最適な条件設定が出来る。芽胞菌を含む一般的な微生物対象の殺菌試験の結果は紫外線処理と同様な傾向を示すが,フィルターで特性の周波数(紫外線域)をカットした場合でも一部の殺菌効果が認められることで,紫外線以外の殺菌効果も含まれていることが予想される。高濃度の微生物への殺菌効果については殺菌効果の低下が認められ,菌が重なっている部分などの閃光パルスが直接照射に晒されない影の部分などの殺菌が期待できないなどの課題もある。食品への応用例としては水産物や農産物の表面殺菌処理による鮮度保持延長効果,包装済みパンのフィルムを介したパン表面への照射による品質保持延長の効果等が紹介している。複雑な物質への効果的な照射方法などまだ検討課題は残るが,処理が短時間で行える点,表面変色等の品質劣化の生じない点,試料の熱変性を生じさせないなど多くの利点を持っている。
Key words |
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Pulsed light(閃光パルス)/Ultraviolet radiation(紫外線照射)/Sterilization on food surface(表面殺菌)/Xenon lamp(キセノンランプ). |
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