日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 37, No.9 (2009)



表 題 感染予防のために用いる薬剤(うがい薬,手指消毒用アルコール製剤,手洗い石けん液)のインフルエンザウイルスに対する不活化効果
著 者 古田太郎,楠田美和子,隈下祐一,辻 陽平,松村玲子,山本将司(サラヤ(株)),加藤由実(東京サラヤ(株)),木村博一(感染研)
掲 載 防菌防黴,Vol.37,No.9,pp.659-666(2009)

インフルエンザウイルスを含めた感染予防対策に使用されている,市販のうがい薬(3種),アルコール系手指消毒剤(11種)および手洗い石けん液(3種)の合計17種類の製剤のインフルエンザウイルス不活化効果を調べ,予防対策としてのうがいと手指衛生の効用について検討した。うがい薬2種,手洗い石けん2種を除く,その他の製剤はいずれも30秒という短時間で>99.9%の不活化効果を示した。カリ石けんとアミン石けんの不活化効果に違いを認めた。不活化効果は石けん液のpHに依存しており,pHが低いほど不活化効果が高いことがわかった。アミン石けんはカリ石けんよりもpHが低く,製剤としても安定であるので,インフルエンザウイルス予防対策用の石けんとして有用であると思われた。ウイルス不活化効果の低かったうがい薬1種は実際に予防効果が認められており,不活化効果よりもうがいそのものの実施が有効であったものと考察した。試験したすべてのアルコール製剤は不活化効果は高く,消毒剤として有用と思われる。
Key words Influenza virus(インフルエンザウイルス)/Inactivation(不活化)/liquid hand soap(手洗い石けん液)/Alcohol hand-rub(アルコールハンドラブ)/Hand disinfection(手指消毒).