日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 37, No.10 (2009)



表 題 食品の化学的保存技術[6] 食品の化学的保存技術各論 2)既存添加物
[2]しらこたん白抽出物(プロタミン)及びペクチン分解物
著 者 野崎一彦(アサマ化成(株))
掲 載 防菌防黴,Vol.37, No.10, pp.773-781(2009)

しらこたん白抽出物(プロタミン)は種々の微生物に対して幅広く抗菌活性が認められており,既存添加物リストおよび第8版食品添加物公定書に収載され,天然物由来の食品保存料として広く利用されている。食品保存料として実用化されたのは1980年代前半であり,その特徴は[1]熱安定性が高く120℃,30分の加熱でも抗菌活性は低下しないこと,[2]酸型の合成保存料とは異なり pH が中性ないしアルカリ性の食品においても保存効果があること,[3]添加した食品の呈味,香り,食感等に影響が少ないこと,[4]食された後,消化されるタンパク質であることなどが挙げられる。
ペクチン分解物は,ペクチンの酵素分解物であり,既存添加物名簿に収載され,食品添加物中の保存料に分類されている。ペクチン分解物の抗菌作用は主に種々の重合度のオリゴガラクツロン酸とガラクツロン酸の非解離のカルボキシル基およびオリゴガラクツロン酸に由来する増殖阻害効果によるものと考えられ,ペクチン分解物を用いた保存料製剤は,タレ,めんつゆ,珍味をはじめ惣菜類に広く利用されている。
Key words Protamine/Pectin digests/Preservative.