日本防菌防黴学会

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防菌防黴誌(和文誌)

Vol. 39, No.5 (2011)



表 題 水道水の電解水による環境微生物の殺菌効果(ノート)
著 者 児玉佑希子,渡辺瑞希,竹下朱美,小島栄一,庄野信浩,森山康司(TOTO(株)総合研究所)
掲 載 防菌防黴,Vol.39,No.5,pp.279-283(2011)

電解質を添加せず直接無隔膜で水道水を電気分解すると,低濃度の遊離塩素を含有する電解水が得られる。この電解水の4種の環境微生物に対する殺菌効果を検討した。その結果,中性(pH7.0)の電解水では環境微生物の菌種によって殺菌効果に違いが認められた。すなわち,電解水中の遊離塩素濃度が0.3mg/l以上であればM. extorquens以外の細菌に対しては1分以内で,0.5mg/l以上であればM. extorquensを含む全ての細菌に対して1分以内に完全に不活化できることが分かった。また,弱アルカリ性(pH9.0)では若干殺菌効果の低下が認められて検出限界以下となるまでに1分~10分を要した。一方,弱酸性(pH5.0)では全ての菌種において接触30秒で検出限界以下となった。これらの結果より,水道水を単純に電気分解して得られた電解水であっても,数秒から数分程度で十分な殺菌効果を得られることが分かった。水道水の電解水は電解質を必要とせず,元来含まれている塩化物イオンを利用しているため,特別な装置を必要としない。したがって,水まわり等の生活環境における衛生管理に有効に利用できるものと期待される。
Key words Electrolyzed water(電解水)/Bactericidal activity(殺菌効果)/Tap water(水道水)/Environmental microbes(環境微生物).