本論文では,可視光照射条件下における硫黄ドープ型酸化チタン(S-TiO2)のLegionella pneumophila SG1に対する抗菌活性を評価した。その結果,L. pneumophila SG1に対するS-TiO2の抗菌効果は認められなかった。そこで,抗菌活性を発揮させるために,S-TiO2に銅および銀を担持し,その抗菌活性について検証を行った。その結果,銅では11%(w/w)(S-TiO2+Cu 11%),銀では9%(w/w)(S-TiO2+Ag9%)をS-TiO2と担持させることで,従来のS-TiO2にはない抗菌性が発揮されることが明らかとなった。また,浴室環境における一般細菌に対する抗菌性試験の結果,S-TiO2+Cu 11%およびS-TiO2+Ag 9%を溶射した磁器タイル上では,全生存細菌数の増加は認められるものの,細菌の発生を1/100程度にまで抑えることが可能であった。これらの結果より,銅または銀担持S-TiO2はL. pneumophila SG1の増殖抑制に非常に有効であることが示唆された。
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Metal-containing sulfur-doped TiO2(金属担持硫黄ドープ型酸化チタン)/Antibacterial activity(抗菌活性)/Visible light illumination(可視光照射)/Legionella pneumophila.. |
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