日本の文化財は木材をはじめ,紙や布などの有機物のものが多い。これらは常に動物類からの食害や糞による汚染などの被害を受けやすく,そのような原因から破損,消失することも少なくない。 温暖多湿なわが国には3万種近くの昆虫が生息していることが知られており,そのごく一部の種類が文化財を加害・汚染する(そのような害虫を「文化財害虫」とよぶ)。文化財害虫は現在,約160種知られている。また,文化財に被害をおよぼす動物類(主に哺乳類・鳥類)はハトやネズミなど古くから知られているものもいれば,近年,アライグマやハクビシンなどの被害が確認されている。 ここでは文化財を加害・汚染する害虫類や動物類の代表的な種類の形態,生態等をとりあげ,これら生物の防除対策の参考にしていただきたいと考える。
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